グループ通算制度の疑問点

すでにご報告しましたように、

①連結納税制度を開始した企業グループのうち、連結欠損金も使い切り、研究開発税制、外国税額控除のメリットもない場合には、グループ通算制度に移行せずに、単体納税に戻ることを検討すべきかと思います。

②連結納税制度を開始していない企業グループのうち、繰越欠損金が多額にある場合には、連結納税制を経由したうえでグループ通算制度に移行すべきかと思います。

ここでは、グループ通算制度のアカデミックな問題点について考えてみたいと思います。

組織再編税制と整合性を保った制度になったため、50%超100%未満の関係から100%になった場合と、50%以下から100%になった場合のグループ通算制度への加入に伴う時価評価に違いが設けられています。組織再編税制と整合性を保つという趣旨からするとやむを得ないと思いますが、「組織再編税制、連結納税制度およびグループ法人税制の残された課題」ビジネス法務2017年10月号139頁以下で述べたように、50%超100%未満グループ内の組織再編が存在することにより、いくつかおかしなところが見受けられます。将来的には、支配関係の定義を廃止するとともに、完全支配関係の定義を金銭等不交付要件の例外に合わせて、発行済株式総数の3分の2以上とすべきかと思います。

もうひとつの問題ですが、帳簿価額修正後の帳簿価額が離脱する子法人の簿価純資産価額になりました。グループ通算制度を導入している企業グループからすると、M&A実務に与える影響はかなり大きくなると思います。また、連結納税制度からグループ通算制度へ移行したことに伴い、かなり事務負担が軽減されることから、グループ通算制度を強制適用することも不可能ではありません。もし、我が国においてグループ通算制度が強制適用になるとしても、かなり先のことかもしれませんが、いくつかシュミレーションをしてみると、グループ通算制度が強制適用された場合には、単体納税制度において抜け穴(ループホール)となっているものがかなり解消されます。

実は、私も平成22年度税制改正で一通りの改正が終わったと思っていました。気が付いてみると、平成29年度の組織再編税制の改正、令和2年度のグループ通算制度と大きな改正が続いています。令和3年、4年には、それほど大きな改正はないのかもしれませんが、いずれは、組織再編税制もグループ通算制度も大きく見直される可能性があると思っていますし、また、見直すべきところも多いと思っています。