博士号の取得について

博士論文を提出したのが、2017年3月なので、記憶が曖昧なところもありますが、2件ほど質問があったので、博士論文を作成した流れについてコメントしたいと思います。

たぶん、問い合わせをしてきた人は、M&Aonlineに掲載された記事を見たうえで問い合わせをしてきたと推定していますが、記事に書かれているように、2016年4月に慶應義塾大学大学院後期博士課程に入学し、2017年3月に博士論文を提出し、2017年9月に博士号を取得しています。

ちなみに、博士論文の審査期間は最低でも4か月はかかります(最長1年と言われました)。しかも、3月と9月のみが学位取得のタイミングです。そのため、「博士論文をどれくらいで仕上げましたか?」という質問には、「1年です」と回答し、「博士号をどれくらいで取得しましたか?」という質問には「1年半です」と回答しています。

博士論文のテーマは、会社法における非上場株式の評価であり、修士課程の時代に、財務会計の博士課程の学生と議論していたときにシナジーの考え方が整理され、その考え方を非上場株式に当てはめたところ、①譲渡制限株式の譲渡、②スクイーズアウト、③組織再編について、何となく方向性が見えてきました(これが、博士論文の第3章、第5章、第6章です。)。ちなみに、修士論文のテーマは、非上場株式のスクイーズアウトです。

同時に、修士課程で仲の良かった中国人留学生の修士論文のテーマが新株発行だったので、その相談を受けているときに、新株発行における非上場株式の評価についても何となく方向性が見えてきました(これが、博士論文の第4章です。)。

修士課程を卒業して大学院生活を辞めるつもりだったのですが、指導教授に法学政治学論究に投稿するように言われたので、投稿をしました。そのときに、「あれ?これ博士論文になるんじゃないか?」と思い、とりあえず目次を作ろうと、他の人の博士論文を調べていたら、補章として法学研究に掲載した判例評釈を載せているのを見たので、じゃあ自分もやってみようと思い、補章に判例評釈を付け加えることにしました。

そうこうしているうちに目次が出来上がったので、これを研究計画書に記載して博士課程の入学試験を受けたのですが、「博士論文の審査期間が半年かかると聞いたので、その半年の間に、非上場株式の評価から上場株式の評価へ繋げていく論文を作りたい」と言ったところ、面接官から「そこまで構想ができているなら、それも博士論文に入れるように」とお叱りを受けたので、第7章を付け加えることにしました。

目次はできていたので、法学政治学論究に入学前に2本、入学後に3本投稿し、合同論文指導研究発表会が終わり、博士論文を提出する権利を得たので、3月に博士論文を提出しました(博士論文の第3章から第7章が法学政治学論究に投稿した論文です)。

こんな感じで博士論文を作ったのですが、実務家にとっては、実務に活かせるテーマでないとやる気が出ないので、事前に指導教授と相談することをお勧めします(実務にかけ離れた内容に進まざるを得ず、どんどんモチベーションが下がっていった人も少なくありません)。

また、博士号の難易度ですが、昔と違って取りやすくなっているようですので、自分に向いているテーマさえ決まれば、仕上げるのはそれほど難しくないと思います。

ちなみに、博士号を取得しても何の役にも立ちません。その一方で、博士号を取得するまでの過程で得た知識はビジネスでも役に立っています。「博士号を取得するメリットはあるのですか?」というご質問を受けることがありますが、「博士号に何の権威もないし、メリットもないけど、論文を書くことで専門家としての知識がアップするならメリットがある。」というのが答えになります。