令和2年度税制改正大綱

令和2年度税制改正大綱が公表されました。

配当+株式譲渡損を利用した租税回避に対しては、様々な例外規定が入ったので、実務上、この規定が適用されるかどうかを検討する必要があると思います。

税制調査会からすでに公表されていたので、ある程度は予想していたグループ通算制度ですが、親法人の繰越欠損金に対しても日本版サーリールールが導入されたというのが大きなポイントかと思います。

ざっくりとした感触ですが、

①すでに連結納税制度を開始している場合には、①連結欠損金が多額に残っている、②外国税額控除、研究開発費のメリットがあるのいずれかに該当するのであればグループ通算制度に移行すべきかと思います。しかし、連結納税制度が導入されてから20年近くが経過したため、連結納税制度を開始した時点では連結欠損金があったものの、すでに連結欠損金を使い切っている事案も少なくありません。この場合には、グループ通算制度に移行しないという選択肢があります。

②まだ連結納税制度を開始していない場合には、親法人の繰越欠損金に対しても日本版サーリールールが適用されるため、外国税額控除、研究開発費のメリットがある場合はともかくとして、基本的には、グループ通算制度を採用すべきではないと思います。ただし、留意すべきは、2年間の経過措置が設けられたことから、連結納税制度を経由してからグループ通算制度に移行するという選択肢があるという点です。この場合には、3月決算法人を例に挙げると、令和3年4月1日から令和4年3月31日までの事業年度において連結納税制度を開始し、令和4年4月1日から令和5年3月31日までの事業年度からグループ通算制度に移行するということになります。

 私見ですが、親法人の繰越欠損金を個別所得の範囲内でしか使用できないことから、グループ通算制度をいきなり開始するメリットは小さいと思います。これに対し、グループ通算制度では、時価評価課税が緩和されたことから、令和4年4月1日以後開始する事業年度では、時価評価課税のデメリットが小さくなります。そのため、連結納税制度を経由せずにグループ通算制度を開始するのではなく、連結納税制度を経由してからグループ通算制度を開始すべきであると言えます。3月決算法人を例に挙げると、令和3年4月1日から令和4年3月31日までの事業年度において連結納税制度を開始する必要があることから、連結納税の承認の申請を令和2年12月31日までに提出する必要があります。

 連結納税制度の開始の前に、適格合併、子会社整理、株式交換等・移転を行うことも多いことから、グループ通算制度への移行は、なるべく早く検討する必要があります。